直ぐにオス同志の威嚇の掛け合いが響き渡った。
野外で他の猫と向き合いながら、ぶちの尻尾が普段の3倍くらいに太くなっていた。
私は180ミリの付いたライカをぶら下げていたが、貴重なカットを抑える余裕もなく、
残りの2匹を部屋の中へ放り投げ、窓を締めて、靴下のままベランダから降りた。
ライカは投げる訳にはいかないから(笑)、そこへ置いていったと思う。
何がなんでも決闘だけは避けなければならない。。その事しか考えられなかった。
先月も近所のオス同志の決闘を見たが、近所の窓が揃って開くくらいの迫力である。
オスはぶちより一回り大きい。そんな野良猫相手に勝ち目はないし、勝てばいいという
ものでもない。どちらがどんな大きな傷を負うかもわからない。
とにかく、2匹を今直ぐ引き離さなければならない。
オスは私が近付いていけば必ず逃げるから、後はぶち次第である。
結局、オスと一緒にぶちも逃げてしまったが、危険な対峙状態は一旦解除された。
その場に座りこんで静かに呼び続けると、やがてぶちはこちらへ向かってきた。
直ぐに手を出すと逃げるので暫く好きにさせ、隙を見て抱き上げ、そのままベランダへ
押し込むことで事なきを得たが、ここ数年でこれ程焦り、緊張した事態はなかった。
野良猫時代の気弱なぶちには考えられない行動である。
去勢をしてからの方むしろオスらしくなったのではないか。。
普段ベランダで落ち着いている彼は、脱走で頭を痛める私に気を使ってるかのようでもある。
・・4年判振りになる今回のぶちの外遊は結局10分程度で終わった。ちょっと可哀想だと思った。
その腹いせか・・翌日彼は純粋な脱走を実現している(苦笑)。
(2005.02.15)