保護1日目・・・結局、ちびには気付かれないように隙を見て連れて帰った。
予想通り、小さくなっておじけついているし、心細そうだ。
もちろん、ミルクになど興味は示さない。困った、困った。
保護2日目・・・肺に何かあるのだろう。寝息にクラック感がある。病院で見てもらわねば。
私に好意は持ってなさそうだが、やはり子ねこだ。
モノを与えると興奮して(そのときも呼吸が苦しそうだ。)遊びはじめる。
が、この2日間はほとんど寝たまんまだ。相変わらず何も食べない。
一番驚いたのは、トイレがちゃんとできていたこと。家に帰って仰天してしまった。
そして、ちびを忘れてほしくないのと、オッパイの必要上、夜には、ちびに会わせに行く。
これは最初から考えていたことだ。
保護3日目・・・病院でそばを見てもらった。。
「風邪」ということで、飲み薬と目薬をもらう。
慣れない手つきで無理矢理流し込むのだが、結構な力で押さえつけないといけない。
益々、嫌われてしまう。
が、2日間寝るだけ寝たのが功を奏したか、起きてうろちょろする時間も増えてきた。
ちびはもう事情(私がそばを連れてってしまうこと)を認識してて、抗議を始めだした。
複雑な心境だ。
保護4日目・・・キャットフードを食べ始めた。
ちびを見ながら覚えたらしいが、家でも自分から食べようとする。
大半は口からこぼれてしまうが、何度も繰り返す。生きるための機脳が全快になりはじめたのか?
彼女はちびに会えると見違えるように元気になる。
そしてオッパイを飲み飽きると、そこら中を探索し出す。
本当に女の子なのだろうか?と思うくらいだが、ちびの子なのだから
好奇心の塊であるのは当然だ。
何か大きなものに寄り添う習性があるのだろう。私の足元や膝の間にも入ってこようとする。
そして帰るとき、ちびを見ることができない。
保護5日目・・・
相変わらず、下手糞な手つきで薬を流し込む。
しかし、その直後でもそばは私から逃げずに遊んでくれるのだ。
そして何もしないでいると膝の上に上がって、
ちょっかいにも対応してくれるようになった。こればかりは時間を忘れてしまう。
やがて寝てしまうが、仔ねこがどれだけ可愛いものなのか、痛感した。
「このままでは手放せなくなる。ちびの我慢も限界だ」
当初の決意から5日しかたってないのに、こんなにも可愛いものだと思っていなかったという
予想外の展開のため、一旦ちびの元へ返そうと思う。
保護6日目・・・今夜、ちびの元へ一旦、返すことにする。
慣れてきたとはいえ、今ならそばも、ちびの元を選ぶはずである。
ティアラもいいが、やっぱりツアイスでも...
と、お別れの日に、寝顔を狙った。
直ぐに察したのか、何事だ?という顔で、でかいカメラを見つめる。
普通はシャッターが鳴ると警戒して引くのだが、
そばは余計に興味を持ってカメラに向かってくるのだ。
シャッターボタンの匂いを嗅いだところでクシャミ一発!
....。水滴がRXの操作部からレンズまで。
この瞬間ほどこの娘がかわいいと思ったことはない。
そばを飼うことには全く抵抗はない。ちびの最初の子ということで、光栄ですらある。
ただ、ちびから母親としての幸福を取り上げることは、どうしてもできない。
たったひとりの子だし。
「ちゃんとちびにくっついているんだよ。」そんな思いというか、願いだ。